Raspberry Pi Pico は これまでのラズパイやArduinoとどう違う? 比較して見えてくる「ピコ」の用途

1月21日に発売となったRaspberry Pi Picoですが、早速編集部にも届いております。すぐに現物をチェックしてみましたが、これまでのRaspberry Piとはだいぶ毛色の違うデバイスになっています。

本記事では、Raspberry Pi Picoを幾つかの既存のボードコンピュータと比較してみます。

今までのRaspberry Pi との違い

まずはざっくりとこれまでのRaspberry Piとの違いを確かめてみましょう。

WiFi/BluetoothCPU/GPURAM価格
Raspberry Pi 4 MODEL B 4GB搭載4 core
1.5GHz
4GB$55
Raspberry Pi Zero W搭載1 core
1GHz
512MB$10
Raspberry Pi Pico無し2 core133MHz264KB$4

Raspberry PiといえばOSを動作させることができ、それを通してブラウザやオフィスソフトといった様々なソフトウェアを利用できることが特徴としてあげられます。

しかし、Raspberry Pi Picoはそれと同等のソフトウェアを動かすスペックは無いことが上の表からわかります。

それではRaspberry Pi Picoは単に”安かろう悪かろう”ということなのでしょうか?

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用途が変わったRaspberry Pi Pico

Raspberry Pi Picoには、いままでストレージとして利用されていたSDカードのスロットがないという大きな特徴があります。

Raspberry Pi Picoのメモリ領域にはリードオンリーの領域が存在し、そこからUSB Flashのソフトウェアが立ち上がることで、専用のバイナリファイルをRaspberry Pi Picoにコピーするだけでソフトウェアの書き込みができる仕様となっています。

この形式ではOSの様に複数のプロセスが動作しないため「割り込み処理」が無くなることになります。この割り込み処理がないという特徴は、モーターやLEDといったアクチューエーターの制御が確実にできるということです。

これらの特徴からRaspberry Pi PicoはSingle Board ComputerではなくMicro Contoroller (マイコン)として設計されたということが伺えます。

マイコンといえばArduinoという印象をもっている方も多くいると思いますので、Raspberry Pi PicoをArdunoなどのマイコンと比較してみました。

Raspberry Pi Pico マイコンボード比較

ピン配置だけ観ると、やはり40pinとRaspberry Piらしさが現れています。

しかしこれだけでは分からないので、Raspberry Pi Picoに似ているシングルボードマイコン2種類と比較してみましょう。

大きさと仕様から下記3種類を比較します。

比較対象は下記の3種類です。

Raspberry Pi Pico – Raspberry Pi財団

Arduino NANO – Arduino ,LLC

Adafruit Feather M4 Express – Adafruit industories

大きさCPU記憶領域動作電圧ピンの数アナログIOの有無標準開発言語標準開発環境
Raspberry Pi Pico51mm * 21mm2 core133MHz264KB5V40pins有り3pinsPythonC/C++Thonny IDE
Arduino NANO45mm * 18mm1 core16MHz32KB5V30pins有り
8pins
Arduino LanguageArduino IDE
Feather M4 Express50.8mm * 22.8mm1 core120MHz512KB5V21pins有り6pinsPythonArduino IDE

このように、Raspberry Pi Picoが小型マイコンボードと似ていることがよく分かります。そして、組み込みマイコンとして動作させるのに十分な条件を満たしている事もわかります。

しかしながら、Raspberry Pi シリーズに特有とも言える興味深い点もあります。それは標準開発環境です。

既存のRaspberry Piシリーズが開発環境に!?

公式サイトのGetting Startedのページにも下図のような表現が見て取れます。

Thonny IDEはRaspberry Pi上でPythonを利用する際に推奨されている、プログラミングエディタです。Thonny IDEはRaspberry Pi OSのデスクトップ版には標準搭載されていますから、Raspbeery Piを使ってRaspberry Pi Picoにプログラミング、デバッグを行うということが想定されているようです。

つまり、今回のRaspberry Pi Picoは既存のRaspberry Piと組み合わせて、手軽に組み込みマイコンを始められるようにプロダクトがデザインされています。

ラズパイでラズパイの開発をおこなう、そんな楽しい未来、新しい楽しみ方が見えてきたといえるでしょう。

かくなる上は、ラズパイでラズパイを焼くラズパイクッカーを目指しましょう!

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