OpenAIが開発した「Sora」は、大きなインパクトと共に発表されましたが、まだ一般的には使用することはできません。しかし、一部のプロフェッショナルのアーティストたちはいち早くSoraを活用する機会を与えられ、作品をOpenAIのサイト上で公開しました。<https://openai.com/blog/sora-first-impressions>
実際に作品が作られたことで、我々もSoraを活用するイメージが湧きますし、さすがはプロのアーティストだと思えるようなクリエイティビティに富んだ作品となっています。Soraにより従来の制約を超えたアイデアを現実のものとする力を持ち、クリエイティブなプロセスを根本から変える未来の一端を感じることができました。
1. 映画への活用
トロントにあるマルチメディア企業のshy kidsは「air head」という頭が風船の人のショートムービーを作成しました。風船頭の人の日常が描かれているだけでなく、頭の風船が飛んでいってしまったり、サボテンに囲まれた道を歩いてハラハラしたり、映画としても引き込まれる映像となっています。このような現実ではあり得ない設定もSoraを活用するとすぐに動画として生成できるということを示しています。
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短編映画の賞を受賞しているPaul TrilloはSoraを使うことでお金、時間、許可を得る必要もなく大胆でエキサイティングなアイデアを実験的に実行できることに魅力を感じています。OpenAIのサイトに投稿された動画では海や砂漠、様々な国や時代を彷彿とさせる街を駆け抜けるシーンやメタリックな人型の生物が街を歩き形を変えていくシーンが描かれています。これらのアイデアをすぐに動画化して試すことができるのは劇的な変化だと言えるでしょう。
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2. ミュージックビデオへの活用
ミュージシャンでありアーティストでもあるAugust KampはSoraを用いてレトロでSFチックなミュージックビデオを彷彿とさせる動画を公開しています。August KampもSoraは制限をなくしてくれると評価しています。Soraは簡単に動画が作れることがウリであるため、今まで以上にミュージシャン自身が自分の思いを具体化して伝えることができるミュージックビデオの作成ができるようになるかもしれません。
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3. 不可能なアイデアの実現
拡張現実やデジタルファッションのデザインを行っているJosephine Millerは技術的に実現不可能だったアイデアを実現することができたと評しています。公開されている動画では柔らかいガラスのような素材でできた重力を感じさせない服の動きが描かれています。
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さらに私が最も面白いと感じたのはAR/XRアーティストのDon Allen Stevenson IIIが公開した動画です。現実には存在しないフラミンゴとキリンが混ざったような動物(ハイブリットクリーチャー)の生きる様子が動画で描かれています。リアルでありながら現実の物理法則に縛られないSoraの「奇妙さ」によって人の想像力も刺激されていく可能性を示しています。
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Soraはまだ一般ユーザーへの公開はされていませんが、2024年4月15日にAdobeがAdobe Premiere Proに複数の生成AIモデルを統合することを発表し、その中の一つにSoraが挙げられています。同社は元々Adobe Fireflyを有していますが、さらにSora以外にもPika Labs、Runwayが導入される予定となっています。公開されるとSoraのモデルでテキストからの動画生成ができるようになるので、一般ユーザーもSoraの機能が使えるようになる日も近いかもしれないですね。