メイカーズムーブメントってなに?5分でおさらい。

メイカーズムーブメントって何だっけ? DIYや3Dプリンターなどといったキーワードは誰の耳にも入ったことでしょう。現在ではよく知られた言葉となっていますが、いま改めてメイカーズムーブメントとは何かを主にデジタルファブリケーションによるものづくりに関わる者としての視点を織り交ぜつつ、簡単にではありますがおさらいします。

メイカーとは誰のこと?

メイカーズムーブメントを作ったのは他ならぬメイカーたちです。なのでメイカーのことを知らなければなりません。 これが製造業を指すときのいわゆる「メーカー」のことではないというのは言うまでもないでしょう。「メイカー」が何者かと言えば、ざっくりと「ものを作るひとりの人」であると言えるでしょう。

ものづくりの民主化

この十年余の間、個人規模のものづくりの可能性が拡大したことにより「ものづくりの民主化」が進んでいきました。 従来専門的または特権的だったものの敷居が下がり、技能を持った技術者や資産家でなくても誰もが手軽に出来る。そういったことが増え始めました。 その例は様々ありますが、例えばあなたが何かプロダクトを作りたいと思ったからといって、工場を建てることはありません。利用料を払って民間の工房を使うことが出来ます。 [caption id="attachment_7907" align="alignnone" width="960"]7b507669-b9cc-4c13-b99d-d1daf7c0e9a8 カインズホームの「CAINZ工房」材料を買ってその場で工房に持ち込めるのは非常に便利です。[/caption]   例としてカインズホームにある工房「CAINZ工房」を挙げてみます。民間の工房というとFabLabなんかが有名ですが、カインズホームも民間に開かれた工作スペースを設置しています。基本的な工具の貸し出しはもちろん。3Dプリンターからレーザー加工機、大型のCNC切削機まで設置しています。 また、東急ハンズにも材料の加工サービスがあり、店舗で買った材料の加工を注文することができます。こちらは工作機械を自由に利用できるわけではないですが、お店の方に注文して設計図通りに切断や穴あけを依頼できます。 カインズホームや東急ハンズには誰しも足を運んだことがあるのではないでしょうか。誰にとっても身近なこういった店舗も、ものづくりをしたい人のために開かれています。

デジタルファブリケーションとは

メイカーズムーブメントと関連して、デジタルファブリケーションという言葉を聞くことがあると思います。その意味は3Dプリンターやレーザー加工機、CNC切削機を始めとするデジタル工作機械によるものづくりのことです。 こうしたデジタル工作機はメイカーズムーブメントとは切り離せないものですが、一般にはまだ珍しい機械として捉えられているようです。 そのせいで誤解されているかも知れませんが、3Dプリンターは3Dデータを設計できる人だけのための専用マシンだというのは間違いです。 [caption id="attachment_7908" align="alignnone" width="1307"]スクリーンショット 2018-01-15 14.10.44 3Dデータ共有プラットフォーム「Thingiverse」[/caption]   例えば「Thingiverse」というサービスをご存知でしょうか。 Thingiverseで「Raspberry Pi」と検索してみて下さい。すると世界各国のメイカーがデザインしたRaspberryPiのケースが一覧できます。たとえ今はあなたにデータを作る技術が無いとしても、ここから気に入ったものを選びさえすれば良いのです。もちろん個人利用の範疇であれば自由に使うことが出来ます。 これを見れば3Dプリンターやレーザー加工機はコワーキングスペースのインテリアでもなければ、キーホルダーやらコースター、簡単なマスコットキャラクターのフィギュアばかり作るためのものではないということが分かるはずです。

発注する

たとえ民間の工房が近くに無かったとしても、ものづくりの機会が無いわけではありません。データさえあれば製造から量産といった工程を行うためにオンラインの加工・製造サービスへ注文することができます。 「DMM.Make」などがよく知られているでしょう。他にも印刷サービスで知られる「グラフィック」も3Dプリント・レーザー加工のサービスを行っています。 作りたいものに関する様々な要求がより簡易なものになり、ものづくりの過程はもはや日用品を通販で購入することとさほど変わらないと感じるようになるのではないでしょうか。民主化とはそういうことだと思います。 いまや何かを生み出すことは私たち一人ひとりに可能なことです。この時代においてメイカーとは、私そしてあなたのことでもあると言っても良いのではないでしょうか。作りたいという意志さえあれば。

小規模であるからこその強み

前述した通り、材料の調達・加工・製造・量産といった過程は大企業の専売特許では無くなったと言えるでしょう。 今ではコミュニティを通じて集まった個人同士が一つのプロジェクトを共有することも出来ます。 ユニークなアイデアを持ち寄り、チームとなってより良いものを作り上げていくことも決して難しくはありません。 彼らのあいだに存在するのはものづくりへの熱意と圧倒的な速度であり、そこでは何かの取り決めに掛かる稟議は存在しませんし、紙の一枚一枚に丁寧な捺印の手続きを繰り返す必要もありません。ものを作ること、ただそれだけで十分なのです。

ものづくりの動力

個人のものづくりを動機づけるのは「これを作らずにはいられない」という情熱に他なりませんが、その情熱のままに打ち込めるのは、今日あらゆる好条件が揃いつつあるためであり、それ自体もまたものづくりの重要な原動力と言えるでしょう。私たちは実は大変恵まれた時代を生きているのです。

ものづくりに適した環境

例えば、今日では図面をひくために数十万円のソフトウェアを準備したり、借金をして工場を建造する必要はありません。 [caption id="attachment_7902" align="alignnone" width="1432"]sample 「Fusion360」は高機能なCADソフトですが、個人利用においては実質無償提供されています。[/caption]   コンピュータや電子部品などは数千円で揃えられ、インターネットさえあれば先駆者たちにそれらの使い方を習うことが出来きます。何かの作り方を知りたいときはGoogle検索でも十分ですが、Instructables というサービスはとても刺激的です。 そこには世界中のメイカーの作品とその作り方が公開されています。 そこにはテクノロジーはもちろん、料理からインテリアまで。 好条件とは即ち、主にArduinoのようなオープンソースハードウェアや、無償利用可能なオープンソフトウェア、デジタルファブリケーション、オンラインコミュニティ、その他ものづくりを支える様々な環境です。

小規模なチームの優位性

同時期、クラウドファウンディングという言葉もまた盛り上がりを見せたことはご存知かと思います。 クラウドファウンディングは、たとえ自立した企業でなくともプロジェクトの出資を募ることを可能にしました。それが一個人によるものだとしてもです。 これまでにない独創的な価値の創造は、むしろ個人にこそアドバンテージがあると私は考えています。 およそ大企業からは生まれ得ないであろうニッチなプロダクトも、良いものを作れば評価してくれる人はたくさんいます。有名企業が作ったのか、または名も無きメイカーが作ったのかなどは重要でなく、良いものは良い。と、そう言ってくれる人々の数は単純には計り知れません。場合によっては個人のものづくりが百万円単位、それ以上もの投資を受けることもあり得るのですから。

メイカーズムーブメントの恩恵

メイカーズムーブメントによって個人の能力が大きく引き上げられたということでしょうか。そうではないと私は思います。今日のものづくりに必要な様々なアセットが、私たちのためにその敷居を下げてくれたというのが正しいでしょう。それにあやかって私たちは今のようなものづくりが出来ています。 これはメイカーズムーブメントを築き上げている実質的な賛同者たちの功績に他なりません。その恩恵の上で個人規模のものづくりの可能性は広がりを見せているのです。私たちが元々持っているポテンシャルを最大限発揮できるのはそのお陰であるということを忘れるべきではないでしょう。

まとめ

最後に、ここまでの内容を要約して終わろうと思います。
  • 専門的・特権的だったものが一般化したことで、誰もがものづくりの機会を得始めた。
  • つまり工場を持つ企業でなくても材料の加工や製造、量産などが出来るようになった。
  • そうした恩恵により個人規模のプロジェクトも大きな成功を収める可能性が生まれた。
ざっくりと、メイカーズムーブメントはこのように考えられるのではないかと思います。   XSHELLはブログでものづくりや、IoTに関する様々な記事を発表しています。そちらもぜひご覧ください。]]>

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