インタビュー時点では5ヶ月目を終えられていて、かなり深い理解とともに、キットを自分のキャリアにいかに活かしていくかというイメージを明確に持っておられました。
加藤さんは、大手コンサルティングファームで企業のデジタル変革を支援するコンサルタントです。コンサルタントとしてスキルアップを考えてご利用いただいておりますので、本業がエンジニアではないという方にとって参考になる事例です。
インタビュー
受講した方の紹介
インタビューにご協力いただいた加藤さんのプロフィールを簡単にご紹介します。
加藤有宣さん
大手コンサルティングファームでの業務のかたわら、業務ツール開発のスタートアップ(株式会社3DI)へ、個人的な友人関係からアドバイザーとしての支援も行っています。スキルアップのために完全に個人負担でキットを申込んだという剛の者。
プログラミングを学習し始めて1年、Pythonを始めて半年でPython 3 エンジニア認定基礎試験に合格。
不規則な業務でも続けやすい、サポート付きの通信教育
—さっそくですが、IoTエンジニア養成キットを購入された理由を教えてください。
最大の理由は、時間の自由度と学習の進めやすさですね。
就業時間に波があることや、家族サービスの時間確保を考えると、平日の就業時間後や土日に開催される授業の場合、急に参加できなくなる懸念が有りました。かと言って、私のようなプログラミング初学者にとって、動画配信等の一方通行の学習では不明点が出てきたときに自己解決が困難です。
良いとこ取りは難しいなぁと思いながら色々なサービスを吟味していたところ、自由な時間に学習でき、且つプロのサポートも受けられるこのキットを見つけました。
また、センシング以外に画像解析等もコースに含まれており、学習コンテンツが興味に合致したのも大きな理由の1つです。
機材面が安定する自宅学習
—加藤さんはどのような環境で学習を進めているのですか?
自宅がメインですね。
ラズパイなどのIoT機器に触れるのは今回のキットが初めてなのですが、もともと機械いじりが趣味だったのもあり、色々なものを修理できる工具と材料が揃っています。
機器の調子が悪くなった時にはすぐに修理にも取り掛かれますし、家でデバイスに囲まれながら開発、学習するのが1番安心します。
—ご自宅で黙々と作業されていると。
そうですね。2歳になる息子がちょろちょろっとやってきて邪魔される時もありますが…。基本的に1人で黙々とやりつつ、プラスワンがいるという感じですね。
—機材面でも心理面でも自宅ならではの安定した環境で学習を進められている、ということですね。
学習した内容を元にして応用した開発例
—ご自宅で作られた作品を見せて頂けますか。
KDDIの方のように高度なものは作れませんが、センサーをラズパイに繋いで、人の通過をオン・オフで検知してデータを吸い上げられるシンプルなデバイスを作成しました。
製造現場に設置する想定で、搭載するバッテリーや、耐候性を意識したケースなど試行錯誤して部品の選定、加工をしました。
—さすが、製造現場の経験者ですね。前述の点は、私達も現場で気に掛けている部分です。
電源を不要にするバッテリーや防塵・防水のための筐体など、『実際にPoCの現場で使う』ことを考えている人向けのTIPSが今あるテキスト以外にもまとめられていたら、すごく嬉しいですね。
編注:こちらに参考記事があります
深い理解へ至るための質問や対話
—ご要望ありがとうございます。他にも要望や、「ここがもっと手厚ければよかったのに」と思うような点はありますか?
テキストやコンテンツは非常に充実していたので不満はないです。内容は私にとっては難しいものばかりでしたが、MQTTやサブスクリプションなどの通信にまつわる「概念」から知ることが出来たのは非常に大きな収穫でした。
デバイス・サーバー間のデータ通信はイメージがつかみにくく、どのような仕組みになっているのか気になっていましたので。
—加藤さんは理解するための情報整理の仕方がすごく特徴的ですよね。気をつけているところはありますか?
自分の理解度を確認するために、アウトプットして整理するようにしています。その際、文字だけではなく、絵にして確認してみることもあります。先程のような概念等はどうしても文字だと表現しづらいので、絵にして右脳で理解しなおすイメージです。
整理した資料をテクニカルサポートの方に送りフィードバックを頂くことで、自身の理解度を確認させて頂くこともありました。
—加藤さんの質問文は構造化されていて分かりやすかったです。
テクニカルサポートでは質問内容を文字でしか伝えられないので、回答して頂きやすいように前提条件をきちんと記述しようと意識していました。
このキットを選んだ理由が「質問できること」だったので、その利点を最大限享受するためにも、質問はきちんと伝わるように気を付けました。
—サービスを利用する側、質問する側として、その質にも気につけているわけですね。
学習を進めていくうちに、派生した疑問がどんどん出てくるじゃないですか。データ構造の概念やシステムの設計思想などは、Googleにサンプルコードを打ち込んで検索というわけにはいかず、インターネットでは調べきれないと思います。
これらの疑問を直接質問でき、親身になって完全回答をくれるテクニカルサポートの存在が、私にとって最大の価値でした。
サポートチャットが、StackOverFlowのように、学習者が自分で検索して答えにたどり着ける仕組みになっていたらより活用しやすいかなと思います。
初学者でも手を動かしながら概念まで深く理解できる
—加藤さんの質問は理解の深さもそうですが、概念の部分など深いところまできちんと探ろうという意欲が強いですが、その源泉はなんですか?
デジタル格差をなくしたい、という気持ちですね。
素晴らしい機能を持つソフトウェアパッケージを用意しているITベンダーさんがいる一方、業務のことは何でも知っていて、これを活用したいという要望を持った事業者さん達がいます。この2者間には、デジタル技術に関する理解度の格差があります。
本来、業務効率化に向け導入されたはずのパッケージですが、この機能と要望が格差によってすれ違い「隙間」ができることで、かえって非効率な業務を生んでしまうことがあります。そして最悪の場合、せっかく導入したパッケージが全く活用されなくなっていたりします。
そこで私の友人が経営している3DIでは、用件を聞きながら数日でプロトタイプを作成し、お客様にその使い勝手と投資対効果を確かめてもらってから本格的な開発する方法をとることで、その隙間の解消に挑戦しています。
隙間を解消するもう1つの手法は、事業者さんが自分達の要望を伝えきれない、ベンダーさんの言うパッケージの機能を理解できないことで生じていた「隙間」がそもそも発生しないように、しっかりと通訳や橋渡しの役割をしてあげることだと思います。
現場へのIT導入において、その役割を果たせる人材がいれば、現状よりも高いシナジーを生むことができます。
そのような人材は今後価値が高まると考えているので、『1通りコードが流せる』というレベルよりも深い理解を目指して勉強しています。
コンサルティング業務においても、デジタル変革などで苦戦している現場に対して、技術観点からも対等に話ができるコンサルタント、なんなら自分達で実装までしますよというようなコンサルタントは、これからさきの目指すべきコンサルタント像「コンサルタント3.0」の1つの形かもしれないと思っています。※
知識や戦略をベースに、現場の意見を聞きながら必要なソリューションをさっと作ってPoCに入れる、なんていうコンサルタントがいたら価値がありそうですよね。
私はそういう存在を目指して勉強していますね。
—素晴らしいですね。そんな人ばっかりだったら世の中のITプロジェクトとかみんなうまくいきそうですね。
このキットに30万円払う人達は、そのぐらいの気概がある人達だろうと私は思います。
ポッとだせる金額ではない、「覚悟がいる金額」なので。
※コンサルタント1.0が知恵袋的な相談役としてのコンサルタント。2.0がファクトベースで戦略を積み上げていくコンサルタント。しかし、フレームワークや方法論は世の中に出回ってきており、大きな事業会社では研修で学ぶ場合も多いため、それだけではプロとして差別化が難しくなってきている。
IoTエンジニア養成キットはこのような方にオススメです
—実際に受講してみて、どのような方におすすめしてみたいと思われましたか?
『ITはITのエンジニアが分かっていればいいだろう』、と言っているようなビジネスパーソンあるいはマネジメント層ですね。自分はもう管理をする側だから、下で手動かすのはお前らだ、と考えているような方々。
さっきの話にも繋がるのですが、デジタル格差やすれ違いによる隙間をなくしたい私としては、そういう思考のビジネスパーソンには是非考えを改めて頂き、本キットで学びなおして頂きたいと思っています。
今後機会が増えるであろうIoTの導入や開発に関しても、どういう作業が発生してどこに時間がかかるのかちゃんと分かってなければ、優れたプロジェクト管理はできないと思います。
いわゆるホワイトカラーで、『自分達はIoT・AI等のデジタル技術を知らなくてもいい』と考えている方々に是非お薦めしたいですね。
—加藤さん、本日はありがとうございました。
まとめ
コンサルタントとスタートアップの2つの側面から、スキルアップのために個人でキットを利用されていた加藤さん。
非常に高い見識と目標をおもちでしたが、サポートとの対話を通して『早く』『深く』『自由な時間を使い、業務と並行して』トレーニングができる、という学習メリットが明らかになりました。
IoTに必要な広範な知識や概念を知る早道としては、やはり先達と言える開発者の活きた意見を聞くことができるという利点は非常に大きいのではないでしょうか。
また、個人で検討するには「覚悟のいる値段」ですが、本業で開発業務に関わっていないからこそ分かっておきたい知識もある、というご意見も頂きました。
ぜひ覚悟の有る方はIoTエンジニア養成キットを導入して『高付加価値人材』になることを検討してみてください。
聞き手:杉田知至/書き手:梅田正人
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